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2026 5.1

CRゴム(クロロプレンゴム)とは?特性・用途・他素材比較から加工・発注のポイントまで徹底解説

CRゴムは、耐候性・耐オゾン性・耐熱性・耐油性・難燃性など複数の性能をバランスよく兼ね備えた合成ゴムです。自動車部品や建築資材、電線被覆、工業用パッキンなど、過酷な環境で使われる工業用ゴム製品に幅広く採用されています。

一方でCRゴムには耐寒性や耐水性に課題があり、使用環境に合わせた素材選定とグレード選びが重要です。CRゴム製品の性能は加工業者の配合技術や成形技術によっても大きく左右されるため、発注先選びも品質とコストを決める大きな要素となります。

本記事では、CRゴムの基礎知識から種類ごとの違い、他のゴム素材との比較、業界別の用途、主な加工方法、そして素材選定・発注先選びの実務ポイントまで、製造業の購買・開発担当者の方に役立つ情報を整理しました。

 

CRゴム(クロロプレンゴム)とは|基本情報と開発の歴史

 

CRゴムとは、クロロプレン(2-クロロ-1,3-ブタジエン)を主成分として乳化重合によりつくられる合成ゴムの総称です。化学略号の「CR」はChloroprene Rubberに由来し、JIS規格やASTM規格でもこの呼称が使われています。

CRゴムは1931年に米国デュポン社が世界で初めて工業化した、最も歴史の古い合成ゴムであり、耐油性に劣る天然ゴムの代替として開発された経緯があります。現在では汎用合成ゴムの代表格として、自動車から建設インフラまで幅広い工業用途で使用されています。分子中に塩素原子を含むことで、紫外線やオゾンに対する耐性、難燃性、接着性といった独自の性質を備えているのが最大の特徴です。

 

CRゴムとネオプレンゴムの違い

CRゴムは「ネオプレンゴム」と呼ばれることもありますが、ネオプレンはデュポン社が1931年に商品化した、世界初の合成ゴムのブランド名です。長年市場をリードしてきた経緯から、商品名が素材名の代名詞のように浸透しています。設計図面や仕様書に「ネオプレン」と記載されている場合も、実質的にはCRゴムを指していると考えて差し支えありません。正式な素材名としては「クロロプレンゴム」または化学略号の「CR」を用いるのが一般的です。

 

CRゴムの特性|長所と短所を正しく把握して選定する

 

CRゴムは「バランスの良いゴム」と表現されることが多く、突出した性能はないものの複数の特性を平均的に備えている点が最大の魅力です。購買・設計の判断に必要な長所と短所を整理します。

 

CRゴムの主な長所(メリット)

① 優れた耐候性・耐オゾン性:分子中の塩素原子の効果で紫外線・オゾンによる劣化が起こりにくく、屋外設置や長期使用部品に適します。

② 幅広い温度範囲で使用可能:連続使用温度は約80〜90℃、短時間なら120℃前後に耐えます。また低温側も概ね−30℃程度まで弾性を維持でき、他の汎用合成ゴムと比べて使用可能な温度帯が広いのが特徴です。

③ 鉱物油・グリスへの実用的な耐油性:NBRほどの耐油性はないものの、鉱物油やグリスに対する安定した耐性があり、軽度な油接触環境では問題なく使用できます。

④ 難燃性(自己消火性):分子中に塩素を含むため自己消火性を示し、電線被覆や一般工業用品など難燃性が求められる用途に好適です。

⑤ 高い機械的強度と接着性:引張強度・引裂強度が高く、補強材を添加しなくても安定した強度が得られます。金属など異種材料との接着性も良好で、接着剤原料としても広く利用されています。

 

CRゴムの主な短所(デメリット)

① 低温時の結晶化:結晶性ポリマーのため−10℃以下で長時間使用すると結晶化が進み、硬化や弾性低下を招きます。低温用途では低温グレードの選定が必要です。

② 耐水性・電気絶縁性はやや劣る:長時間水や湿気にさらされる環境では物性低下が起こりやすい傾向があります。

③ 強酸・強アルカリ・極性溶剤に弱い:濃硫酸や濃アルカリ、ケトン・エステル類との接触には耐性が低いため、用途に応じた素材検討が必要です。

④ 廃棄時の環境配慮:塩素を含むため、焼却処理ではなく産業廃棄物として適切に処理する必要があります。

 

CRゴムの代表的な物性値

項目 代表値
硬度(ショアA) 40〜90
引張強度 15〜25 MPa
伸び 400〜800%
比重 約1.23〜1.25
連続使用温度 80〜90℃
使用下限温度 約−30℃(低温グレードで−40℃)
難燃性 自己消火性あり

 

CRゴムの種類|Gタイプ・Wタイプの違いと選び分け

 

CRゴムは重合時の分子量調整剤の違いで主に3タイプに分かれます。同じCRゴムでも性能に差があるため、用途に合わせたグレード選定が品質を左右します。

 

CRゴムの硫黄変性(Gタイプ)

CRゴム開発当初から存在するタイプで、重合時に硫黄を添加して製造します。機械的強度や耐引裂性に優れ、ベルト、ホース、防振ゴムなど荷重や振動が加わる動的用途で採用されることが多いタイプです。

 

CRゴムの非硫黄変性(Wタイプ)

現在生産されているCRゴムの主流タイプで、圧縮永久歪みが小さく硬度変化も少ないため、長期使用に適しているのが特徴です。Oリングやパッキン、ガスケットなどシール性能の長期安定性が求められる成形品ではほとんどこのタイプが採用されます。

 

CRゴムの特殊用途タイプ

結晶性を高めたタイプは接着剤原料として、低粘度タイプやカルボキシル化タイプは液状ゴムや特殊配合用途で使用されます。主に原料メーカー・コンパウンドメーカーで扱われるタイプです。

 

CRゴムと他のゴム素材との違い|NBR・EPDM・NRとの比較

 

素材選定を誤ると早期劣化や不具合の原因になります。他のゴム素材との性能差を理解したうえでCRゴムの採用可否を判断しましょう。

 

CRゴムとNBR(ニトリルゴム)の違い

NBRは耐油性に特化した合成ゴムで、油圧機器や燃料系シールなど油への耐性が最優先される用途ではNBRが選ばれます。ただしNBRは耐候性やオゾン劣化に弱く屋外には不向きです。耐油性と耐候性を両立させたい場面ではCRゴムが有力候補となります。

▶ あわせて読みたい  NBR(ニトリルゴム)とは?|用途・特徴について解説

 

CRゴムとEPDM(エチレンプロピレンゴム)の違い

EPDMは耐候性・耐オゾン性・耐水性に極めて優れ、屋外・水回り用途での第一候補となる素材です。反面、耐油性がほぼないため油と接触する環境には使えません。油が飛散する可能性のある屋外用途などでは、CRゴムの方が適している場面が多くあります。

▶ あわせて読みたい  EPDMゴムの基礎知識|用途と他素材との比較

 

CRゴムとNR(天然ゴム)の違い

NR(天然ゴム)は機械的強度と反発弾性に優れるものの、耐候性・耐油性・耐熱性に劣ります。CRゴムは天然ゴムの弱点を改良する目的で開発された経緯があり、NRに近い弾性を保ちながら環境耐性を大きく高めた素材と位置づけられます。

▶ あわせて読みたい  天然ゴム(NR)とは?特徴・用途・合成ゴムとの違いと、ゴム加工で失敗しない選定ポイント

 

CRゴムと主要ゴム素材との特性比較表

特性 CR NBR EPDM NR FKM
耐候性
耐油性 ×
耐熱性 ○(〜90℃) ○(〜120℃) ○(〜150℃) △(〜80℃) ◎(〜250℃)
耐寒性 ×
難燃性 × × ×
機械的強度
価格 低〜中

 

耐候性・耐油性・難燃性をバランス良く満たし、価格も中程度に抑えられる点が、CRゴムが長く支持されてきた理由です。

 

CRゴムの主な用途|業界別の採用事例

CRゴムはバランスの良さから多様な業界で採用されています。自社の製造装置や製品に使用されているケースも少なくありません。

 

CRゴムの自動車・輸送機器分野での採用例

エアコンホース、燃料ホース、冷却水ホース、Vベルト、タイミングベルトカバー、ブレーキ部品のシール、ウェザーストリップなど、エンジンルーム内外の多様な部品にCRゴムが採用されています。耐熱・耐油・耐候のバランスが求められる環境で信頼性の高い素材として選ばれ続けています。

 

CRゴムの建築・土木・インフラ分野での採用例

建築用ゴム製品、窓枠の気密パッキン、ビルの免震・防振マット、船舶のハッチ用パッキン、落橋防止用緩衝ゴム、橋梁の支承部材など、インフラを支える部品に広く利用されています。屋外で長期使用される耐候性と機械的強度の両立が評価されています。

 

CRゴムの電機・産業機器分野での採用例

電線・ケーブルの被覆材、コンベアベルト、工業用ホース、産業機器のパッキン・ガスケット、マスキング治具など、工業用ゴム部品の定番素材として採用されています。難燃性が重視される電気分野、荷重が加わるコンベア分野のいずれにおいても有力な選択肢です。

 

CRゴムの加工方法|成形・切削・押出の特徴と選び方

 

CRゴム製品は、部品の形状・生産数量・要求精度に応じて最適な加工方法を選ぶ必要があります。主な加工方法の特徴を整理します。

 

CRゴムのプレス成形(圧縮成形)

金型にCRゴム材料を充填し、加熱・加圧して成形する最も一般的な方法です。コストと精度のバランスが良く、パッキン、ガスケット、Oリング、防振ゴムなど多様な製品に適し、中ロットから量産まで幅広く対応できます。

 

CRゴムの射出成形(インジェクション)

加熱したCRゴム材料を高圧で金型に注入する方法で、自動化がしやすく量産時の生産性に優れます。寸法精度も高く、自動車用の小型シール部品など大量生産が前提の部品に向いています。

 

CRゴムの押出成形(長尺品の製造)

口金を通してCRゴム材料を連続的に押し出し、加硫して製品化する方法です。ホース、チューブ、シール材の長尺品、窓枠パッキン、コンベアベルト端部の成型部品など、断面形状が一定の長尺品の量産に最適です。

▶ あわせて読みたい  ゴム押出成形とは?工程・メリット・注意点を徹底解説

 

CRゴムの切削加工(試作・小ロット)

CRゴムのシート材やブロック材から機械的に切削・裁断する方法です。金型が不要なため初期費用を抑えられ、試作1個からの対応も可能です。量産前の形状検討や小ロット生産で有効な選択肢になります。

▶ あわせて読みたい  ゴム切削加工とは?金型不要で高精度な小ロット試作を実現する方法

試作段階では切削で形状を詰め、量産段階で金型成形に移行する段階的な使い分けが、品質とコストの両立に有効です。

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CRゴム選定で失敗しないための5つのチェックポイント

 

CRゴムはバランス型の素材ですが、選定を誤ると早期劣化や不具合の原因になります。発注前に確認しておきたいポイントを整理します。

 

① CRゴムの使用温度範囲を正確に把握する

連続使用温度・ピーク温度・最低温度を整理しましょう。連続90℃を超える環境ではEPDMやシリコンゴム−30℃を下回る環境では低温グレードCRゴムやシリコンゴムへの切り替えを検討する必要があります。

▶ あわせて読みたい  シリコンゴムとは?特性・用途から他素材との違い・加工方法まで徹底解説

 

② CRゴムが接触する油・薬品の種類を特定する

CRゴムは鉱物油に対する実用的な耐性を持ちますが、長時間・高濃度で油に浸漬する環境ではNBRの方が適しています。強酸・強アルカリ・ケトン・エステル類との接触には弱いため、接触物質を事前にリストアップし、必要に応じて浸漬試験を実施しましょう。

 

③ CRゴムのグレード(Gタイプ/Wタイプ)を用途に合わせて選定する

動的環境下で使用されるベルトやホースはGタイプ(硫黄変性)、圧縮永久歪みが重要なOリングやパッキンはWタイプ(非硫黄変性)が基本です。加工業者に使用環境と求められる特性を詳細に伝えることで、最適なグレードを提案してもらえます。

 

④ CRゴムの屋外使用時の耐候性・耐オゾン性を検証する

CRゴムは耐候性に優れるものの、紫外線が極めて強い環境やオゾン発生源が近い環境ではEPDMの方が適している場合もあります。使用場所の環境条件(直射日光・雨水・積雪・オゾン濃度など)を整理し、素材選定に反映させましょう。

 

⑤ CRゴム製品のROHS2・REACH等の規格対応を確認する

自動車・電機・医療機器など輸出関連の部品では、ROHS2規格やREACH規制への適合が求められます。加工業者の規格対応状況や材料証明書・試験成績書の発行可否を事前に確認することで、後工程での手戻りを防げます。

 

CRゴム製品の発注先に求めたい3つの対応力

CRゴム製品の品質は、加工業者の配合技術・成形技術・対応力によって大きく変わります。失敗しない業者選びのために押さえておきたい3つの対応力を整理します。

 

① 京都で唯一のCRゴム特殊配合|練りから一貫生産できる体制

CRゴムは配合設計が製品特性に直結する素材です。カーボンブラックや老化防止剤、加硫剤などの配合比率によって、硬度・耐熱性・耐油性・耐候性のどこに重点を置くかが決まります。自社で練りロール機を保有し、原材料の配合から成形までワンストップで対応できる業者であれば、使用環境に最適化した特殊配合が可能です。こうした体制をもつ企業は限られており、京都ではこの体制を備えた加工業者は唯一といわれるほど希少です。既製コンパウンドを仕入れるだけの業者と比べ、品質面・コスト面の両方で差が生じます。

 

② CRゴムの試作1個から量産までを一社完結|切り替え不要で品質を安定化

CRゴム製品の開発では、試作段階で素材選定と加工条件を詰め、そのまま金型成形による量産に展開する流れが理想的です。切削での試作から金型量産まで一社で完結できれば、サプライヤー切り替えに伴う品質のばらつきや情報伝達のロスを防げます。図面をお持ちの法人様であれば、試作1個からの小ロット相談が可能な業者を選ぶことで、量産化までスムーズに開発を進められます。

 

③ CRゴムと樹脂の両対応|サプライヤーを一本化できる総合加工力

工業製品の部品構成では、ゴム製品と樹脂製品が組み合わせて使用されるケースが少なくありません。ゴムと樹脂の両方を自社で取り扱える加工業者であれば、複数サプライヤーへの分散発注が不要になり、調達工数の削減につながります。さらにゴムと樹脂の一体成型に対応できる業者は業界全体でも希少で、複合部品を扱う購買・設計担当者にとっては大きなメリットです。ゴム専業・樹脂専業のメーカーが多いなか、両素材を一社でカバーできる加工業者を選ぶことは、長期的なサプライチェーンの安定化にもつながります。

 

前川化学工業のCRゴム製品対応|創業60年の京都で試作から量産まで一貫対応

 

前川化学工業は、京都でCRゴムをはじめとする各種合成ゴム・樹脂製品の製造に創業60年以上携わってきた加工メーカーです。ゴム練りロール機を自社保有し、原材料の配合設計から成形、切削などの二次加工まで社内で一貫対応する体制を強みとしています。CRゴムの特殊配合にも対応しており、使用温度・接触薬品・耐候性などの要件に合わせた最適なコンパウンド設計が可能です。試作段階ではゴム切削加工により試作1個からの小ロット製作を受け付け、量産段階ではプレス成形・射出成形・押出成形で大量生産にも対応します。試作から量産まで同じ窓口で進められるため、サプライヤー切り替えに伴うリスクがありません。また、ゴム製品と樹脂製品の両方を自社で取り扱える希少な体制をとっており、ゴム×樹脂の一体成型にも対応しています。従業員10〜300名規模のメーカー様に多くご利用いただいており、購買・調達担当者の方との密なコミュニケーションを通じて最適な部品調達をサポートします。ROHS2規格・REACH規制への適合対応や材料証明書の発行体制も整っており、品質要求の厳しい自動車・電機・医療機器向け部品でも安心してお任せいただけます。

 

まとめ|CRゴムの試作・量産は特殊配合と一貫生産ができる加工業者へ

 

CRゴムは、耐候性・耐熱性・耐油性・難燃性・機械的強度をバランス良く兼ね備えた汎用性の高い合成ゴムです。一方で耐寒性や耐水性、強酸・強アルカリへの耐性には制約があり、GタイプとWタイプでも性能が異なるため、使用環境に応じた素材選定とグレード選びが品質を左右します。CRゴム製品の品質は、加工業者の配合技術・成形技術によっても大きく変わります。ゴム練りからの一貫生産、試作から量産までのシームレス対応、ゴムと樹脂の両対応という3つの対応力を備えた加工業者をパートナーに選ぶことで、調達の安定化と品質向上の両立が実現します。図面をお持ちの法人様であれば、まずは試作段階からご相談いただくことで、量産化までスムーズな開発が可能です。

 

CRゴム製品の試作・量産のご相談は前川化学工業へ
ゴム練りからの一貫生産体制。図面があれば最短即日お見積り回答。
試作1個から対応可能。ゴムも樹脂もまとめてご依頼いただけます。
従業員10〜300名規模のメーカー様に多くご利用いただいています。

 

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