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2026 6.30

SBRゴム(スチレンブタジエンゴム)とは|特性・用途・他ゴムとの違いから加工・調達のポイントまで徹底解説

SBRゴム(スチレンブタジエンゴム)は、合成ゴムの中で世界的に最も多く生産・消費されている汎用ゴムです。自動車用タイヤをはじめ、防振ゴムやベルト、ホース、工業用ゴムシートまで幅広く使われており、ゴム部品の調達を検討するうえで欠かせない基礎素材といえます。一方でSBRゴムは、単体で使うよりも他のゴムとブレンドし、配合設計によって性能を仕立てて使う素材でもあります。

この記事では、SBRゴムの基本特性や用途、天然ゴム(NR)やNBRなど他素材との違いを整理したうえで、図面をお持ちのメーカーのご担当者が試作から量産まで失敗なく部品を調達するためのポイントまで解説します。

SBRゴム(スチレンブタジエンゴム)とは|最も多く使われる汎用合成ゴム

SBRゴムは、石油由来のスチレンとブタジエンという2種類の原料を共重合(コポリマー化)して作られる合成ゴムです。「Styrene Butadiene Rubber」の頭文字をとってSBRと呼ばれ、日本語では「スチレンゴム」と表記されることもあります。性能のバランス・原料価格・供給の安定性に優れ、ゴム製品全体の中でも特に消費量の多い素材です。

SBRゴムの構造と「スチレンゴム」と呼ばれる理由

スチレンは芳香環(ベンゼン環)を持つモノマーで、これがゴム分子へ組み込まれることにより、引張強さや耐摩耗性が高まります。ブタジエンはゴム特有の柔軟性と弾性を生み出す成分です。両者を共重合した分子鎖には炭素間の二重結合が残るため、硫黄などによる加硫(架橋)が可能で、弾力のあるゴム製品へ仕上がります。スチレン成分を含むことから現場では「スチレンゴム」「SBRゴム」と呼ばれることもありますが、いずれも同じ素材を指します。

SBRゴムが天然ゴム(NR)の代替として広がった背景

SBRゴムは、もともと天然ゴム(NR)の代わりとなる素材として開発された歴史を持ちます。1930年代にドイツで工業化され、第二次世界大戦で天然ゴムの調達が難しくなった時期に量産技術が確立されました。天然ゴムに近い弾性や機械的強度を備えながら、化学合成のため品質が安定し、異物の混入が少ないことから、戦後は世界中で汎用ゴムの標準素材として普及しました。

NRそのものの特性や選び方については、関連記事「天然ゴム(NR)とは?特徴・用途・合成ゴムとの違いと、ゴム加工で失敗しない選定ポイント」で詳しくまとめています。

SBRゴムの2タイプ|乳化重合(E-SBR)と溶液重合(S-SBR)の違い

SBRゴムは、製造時の重合方法によって大きく2種類に分かれます。一つは乳化重合で作られるE-SBRで、ラジカル重合により製造され、結合スチレン量が23.5%前後のグレードが世界標準品となっています。生産量の約8割を占め、タイヤや防振ゴム、一般工業用品に広く使われます。もう一つは溶液重合で作られるS-SBRで、アニオン重合により製造されます。分子構造の設計自由度が高く、ポリマー末端の修飾などにより特性を細かく作り込めるため、制動性と低燃費性を両立する低燃費タイヤなどへ採用が広がっています。

SBRゴムの特性|長所と短所を正しく押さえる

SBRゴムを部品へ採用する際は、長所だけでなく短所も正しく把握しておくことが、後工程でのトラブル回避につながります。ここでは工業用ゴム部品の観点から、SBRゴムの強みと注意点を整理します。

SBRゴムの長所|耐摩耗性・弾性・加工性・品質の安定性

SBRゴムの代表的な長所は、耐摩耗性と弾性、そして耐老化性に優れる点です。繰り返し変形が加わる環境でも比較的安定した弾性を保ち、すり減りにも強いため、タイヤやベルトなど動的な負荷がかかる部品に向いています。化学合成品のため品質のばらつきが小さく、異物が少ないことも工業用途では大きな利点です。さらに、天然ゴムのように原料をほぐす素練りの工程を必要とせず、すぐに混練り(配合)へ進める扱いやすさや、原料価格の安定性も評価されています。

SBRゴムの短所|耐油性・耐候性・耐寒性に注意

一方でSBRゴムには、用途を選ぶうえで注意したい短所もあります。極性基を持たない炭化水素系のゴムであるため耐油性に乏しく、鉱物油が触れるOリングやパッキン、オイルシールには不向きです。こうした耐油性が求められる部位には、後述するNBR(ニトリルゴム)が選ばれます。

また、分子鎖に二重結合が残るため耐候性・耐オゾン性に課題があり、屋外で長期間使う部品には配合上の対策が欠かせません。汎用ゴムの中では耐寒性が劣る点や、加硫がやや遅く加硫促進剤を多めに用いる必要がある点も押さえておきたいところです。

SBRゴムの主な物性値の目安(ショアA硬度・引張強さなど)

SBRゴムの物性は配合によって大きく変わりますが、工業用ゴム部品としての一般的な目安は次のとおりです。下表はあくまで標準的なグレードでの参考値で、要求仕様に応じた配合設計により調整が可能です。

項目

代表値

硬度(ショアA硬度)

約40〜90(配合により調整可能)

比重

約0.94〜1.2(補強剤などの配合により変動)

常用使用温度の目安

約−30〜70℃

耐摩耗性

良好

耐油性(鉱物油)

不可(油が触れる部位には不向き)

引張強さ

約15〜25 MPa(補強剤の配合による)

SBRゴムの主な用途|タイヤから工業用ゴム部品まで

SBRゴムは性能とコストのバランスに優れるため、身近な製品から産業用部品まで幅広く使われています。実際の製品では単独で使うよりも、用途に応じて他のゴムとブレンドして使われるケースが多いのも特徴です。

自動車・タイヤ分野でのSBRゴムの用途

SBRゴムの最大の用途は自動車用タイヤです。耐摩耗性と弾性を活かしてトレッドやサイドウォールなどに使われますが、実際のタイヤでは天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)とブレンドし、走行性能と耐久性のバランスを取って配合されるのが一般的です。低燃費タイヤの分野では、前述のS-SBRが制動性と低燃費性の両立に貢献しています。タイヤ以外でも、防振ゴムやエンジンマウントなど、自動車の振動を抑える部品に採用されています。

工業用ゴムシート・押出品・パッキンとしてのSBRゴムの用途

工業分野では、SBRゴムはベルトやホース、ゴムシート、土木用の伸縮目地材、衝撃緩衝材など、すり減りに強いことが求められる部品に広く使われています。シート状や長尺の断面形状を持つ製品では押出成形が用いられ、チューブやシール材などが連続的に生産されます。

押出成形の流れや適した製品については、関連記事「ゴム押出成形とは?工程・メリット・注意点を徹底解説」で紹介しています。

油に触れないパッキンや一般的なシート部品であればSBRゴムでも対応できますが、油が常時かかる箇所には耐油性の高い素材を選ぶ判断が欠かせません。

SBRゴムが不向きな用途と代替素材(NBR・EPDMなど)

SBRゴムは万能ではないため、使用環境によっては別素材のほうが適する場合があります。ガソリンやエンジンオイル、作動油など油が触れる部位にはNBR(ニトリルゴム)、屋外や水回りなど耐候性・耐オゾン性が求められる箇所にはEPDMが適しています。

耐油性が必要な部品については、関連記事「NBR(ニトリルゴム)とは?用途・特徴について解説」もあわせてご覧ください。

部品の使用条件を整理したうえで、SBRゴムが適するのか、他素材やブレンド配合で補うべきかを見極めることが、トラブルのない選定につながります。

SBRゴムと他のゴム素材との違い|NR・NBR・EPDMとの比較

SBRゴムを選ぶべきか判断するには、よく比較される他のゴム素材との違いを押さえておくと整理しやすくなります。代表的な汎用ゴムとの特性を比べたものが次の表です。

比較項目

SBRゴム

天然ゴム(NR)

NBR

EPDM

耐摩耗性

機械的強度

反発弾性

耐老化性

耐候性・耐オゾン性

×

耐油性(鉱物油)

×

×

×

耐寒性

コスト

◎優れる ○良好 △やや劣る ×不可(いずれも一般的な配合での目安)

SBRゴムと天然ゴム(NR)の違い

SBRゴムと天然ゴム(NR)は性質が近く、しばしば比較される素材です。機械的強度や反発弾性では天然ゴムに優れる面がありますが、SBRゴムは品質の安定性や耐老化性、耐摩耗性で上回ります。天然ゴムは産地や季節によって品質や価格が変動しやすいのに対し、SBRゴムは化学合成のため安定して調達できる点も、量産部品では重要な違いです。実際の製品では両者をブレンドし、互いの長所を活かす配合も多く採用されています。

SBRゴムとNBR・EPDMなど他の合成ゴムとの違い

NBR(ニトリルゴム)は耐油性に優れ、油が触れるシール部品で力を発揮しますが、耐候性には課題があります。EPDMは耐候性・耐オゾン性・耐水性に優れ、屋外や水回りの部品に適しています。

EPDMの詳しい特性は、関連記事「EPDMゴムの基礎知識|用途と他素材との比較」で解説しています。

SBRゴムはこれらの特殊な耐性では専用素材に譲りますが、耐摩耗性・弾性・コストのバランスに優れた汎用ゴムとして、幅広い一般工業用途で標準的に選ばれています。

用途から考えるSBRゴムの選び方

素材選定の出発点は、「その部品が何に触れ、どんな温度で、どれくらいの期間使われるか」を言語化することです。油に触れず、コストと耐摩耗性を重視する一般工業部品ならSBRゴムが第一候補になりますが、油・屋外・高温といった条件が加わる場合は、他素材への変更やブレンド配合での対応を検討します。判断に迷うときは、使用条件を共有したうえでゴム加工メーカーへ相談すると、過剰品質やコスト増を避けやすくなります。

SBRゴムは配合設計で性能が決まる|京都唯一の特殊配合という選択肢

ここまで見てきたとおり、SBRゴムは素材そのものの特性だけで性能が決まるわけではありません。むしろ、どの素材とブレンドし、どんな配合で仕立てるかによって、同じ「SBRゴム」でも引き出せる性能が大きく変わります。だからこそ、配合設計を自社で行える加工メーカーを選ぶことが、SBRゴム部品の品質を左右します。

SBRゴムは単独使用よりブレンド・配合が前提となる素材

SBRゴムは、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)とブレンドして使われることが多く、カーボンブラックやシリカといった補強剤、加硫系、老化防止剤の組み合わせによって、硬度や引張強さ、弾性、耐摩耗性を細かく調整します。スチレン量やブタジエン部分の構造を最適化すれば、低温での柔軟性なども作り込めます。つまり、配合設計こそがSBRゴム部品の性能を決める要といえます。

練りロール機による特殊配合でSBRゴムを要求仕様に合わせる

前川化学工業は、原材料の配合から練り、成形までを社内で一貫して行える体制を強みとしています。ゴム練りロール機を自社で保有し、京都では数少ない特殊配合に対応できるため、SBRゴムを使用環境や要求物性に合わせて仕立てることが可能です。硬度・耐摩耗性・コストのバランスを取りながら、図面に示された仕様を満たすコンパウンドを設計します。工程を外部に分散させないため、仕様のすり合わせや品質の作り込みを密に進められます。

ゴム部品づくり全般の進め方やコストについては、関連記事「ゴム加工とは?加工方法・素材・メリットから価格まで徹底解説」で整理しています。

試作1個から量産まで一貫対応|SBRゴム部品の調達をスムーズに

工業用ゴム部品では、素材の知識に加えて、試作から量産までを見据えた加工・調達の体制が重要になります。SBRゴム部品を無駄なく形にするための、調達の進め方を紹介します。

図面をお持ちならSBRゴム部品を試作1個から相談できる体制

前川化学工業では、図面をお持ちのメーカーのご担当者からのご相談を、試作1個から承っています。開発段階では金型を使わない切削加工で寸法や物性を素早く検証し、方向性が固まってから量産用の金型成形へ移ることで、初期費用と時間を抑えられます。試作と量産で業者を分ける必要がないため、仕様のすり合わせがスムーズです。

SBRゴム部品の切削・押出・成型を一社で完結|サプライヤー切り替え不要

試作段階の切削加工から、量産段階のプレス成形・押出成形まで、同じ窓口で一貫して対応できます。

切削による試作の進め方は、関連記事「ゴム切削加工とは?金型不要で高精度な小ロット試作を実現する方法」で詳しく解説しています。

サプライヤーを切り替えずに試作から量産へ移行できるため、品質の再現性を保ちやすく、立ち上げのリスクを抑えられます。案件ごとに営業と事務の専任担当者が付き、関西一円へは自社のドライバーが配送するので、納期や数量の調整にも柔軟に対応できます。

ゴムと樹脂の両対応でSBRゴム複合部品の調達も一本化

前川化学工業は、ゴムと樹脂の両方を自社で扱える希少な体制をとっています。SBRゴムをはじめとするゴム部品と樹脂部品をまとめて発注できるほか、ゴムと樹脂の一体成型にも対応しているため、複合部品の調達先を一本化できます。複数のサプライヤーを管理する手間やコストを削減できる点は、購買・調達のご担当者にとって大きな利点です。

前川化学工業のSBRゴム加工|創業60年の京都で品質を支える

前川化学工業株式会社は、京都でゴム・樹脂製品の成型加工に創業60年以上携わってきたメーカーです。SBRゴムをはじめとする各種合成ゴムについて、配合設計から成形、切削などの二次加工までを社内で一貫対応します。ROHS2規格・REACH規制への適合対応や材料証明書の発行に加え、品質保証部による社内評価体制も整えているため、高い信頼性が求められる自動車・産業機械・電機向けの部品でも安心してご依頼いただけます。

従業員10〜300名規模のメーカーさまに多くご利用いただいており、会社の体制は「前川化学工業の会社概要」でもご確認いただけます。図面をお持ちの法人のご担当者であれば、試作1個からのお取引も歓迎しています。

まとめ|SBRゴムは特性理解と配合・調達体制で価値が決まる

SBRゴムは、耐摩耗性・弾性・コストのバランスに優れ、合成ゴムの中で最も広く使われている汎用素材です。一方で耐油性や耐候性には課題があるため、用途を見極めたうえで、ブレンドや配合設計によって性能を仕立てて使うことが、トラブルのない部品づくりの基本となります。だからこそSBRゴム部品の調達では、配合設計から試作・量産までを一貫して任せられる加工メーカーを選ぶことが重要です。

前川化学工業は、京都で培った特殊配合の技術と、ゴム×樹脂の総合加工力で、図面をお持ちのメーカーのご担当者の部品調達をサポートします。SBRゴムの最適な仕様や試作についてお悩みでしたら、図面をもとにお気軽にお声がけください。

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図面をお持ちでしたら、最短即日でお見積りいたします。試作1個からのお取引や、SBRゴムを使用環境に合わせた配合設計のご相談も承ります。

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