プラスチック切削加工の基礎知識から、主な加工方法まで解説します。素材別の特徴や加工の流れ、注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。プラスチックの切削加工なら、前川化学工業株式会社にお任せください。
プラスチック切削加工とは?加工方法・素材・注意点まで徹底解説
プラスチックの切削加工は、試作や小ロット部品の製作、精密部品の加工などに欠かせない重要な技術です。本記事では、旋盤・フライス・CNCなど主要な加工方法の違いや、加工に使われるプラスチック素材の特徴、加工工程の流れ、価格目安などを分かりやすく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
プラスチックの切削加工とは

プラスチックの切削加工とは、樹脂素材を削って目的の形状に仕上げる加工方法です。金属の機械加工と同様に、フライス盤や旋盤、マシニングセンタなどの工作機械を使用し、図面に基づいた寸法・形状に加工します。
切削加工の特長は、金型を使わずに1点から製作が可能である点です。そのため、試作品の製作や少量多品種の対応、短納期の案件に適しており、開発現場や特殊部品の製造現場で重宝される技術です。また、精密な加工が可能で、±0.01mm単位の高い寸法精度が求められる場合にも活用されています。
切削加工方法の主な種類
代表的な加工方法である、旋盤加工、フライス加工、CNC加工、ドリル加工、ネジ切り加工について解説します。
旋盤加工
旋盤加工は、素材を回転させながら刃物で削ることで、円筒形状の部品を製作する加工方法です。シャフトやパイプ、リングなど、回転対称の部品に適しています。高い同心度と寸法精度が求められる場合に有効であり、内径や外径の加工、段付き形状の作成などにも対応可能です。また、切削条件を適切に設定することで、滑らかな表面に仕上げることが可能です。
フライス加工
フライス加工は、回転する工具(フライス)を用いて、素材の平面や溝、段差などを削り出す加工方法です。直線的な形状や複雑な輪郭の加工に適しており、部品の精密な形状出しや溝加工、穴あけ加工などに広く利用されています。また、専用の治具や工具を組み合わせることで、多様な形状への対応が可能です。
CNC加工
CNC加工は、コンピュータ数値制御(CNC)によって工作機械を制御し、高精度かつ複雑な形状の加工を実現する方法です。3次元形状や微細なパターンの加工が可能であり、試作から量産まで幅広く対応できます。また、加工プログラムを活用することで、再現性の高い加工が行え、品質の安定にも寄与します。
ドリル加工
ドリル加工は、回転するドリル工具を用いて、素材に穴を開ける基本的な加工方法です。穴の径や深さ、位置精度が重要となるため、適切な工具選定と加工条件の設定が求められます。また、下穴加工や段付き穴の加工など、目的に応じた多様な穴あけが可能です。
ネジ切り加工
ネジ切り加工は、素材の表面や内面にねじ山を形成する加工方法です。タップやダイス、旋盤などを用いて、所定のねじ規格に合わせたねじ山を切削します。精度の高いねじ加工には、適切な工具選定と加工条件の設定が不可欠であり、部品の組み立てや機能性に大きく影響します。
切削加工に使用されるプラスチック素材
用途や性能要求に応じて、さまざまなプラスチック素材が使用されます。
主に使用される汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、スーパーエンプラに関して、それぞれの特性や適用分野について解説します。
汎用プラスチック
汎用プラスチックは、比較的安価で加工性に優れた素材群です。代表的なものに、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)などがあります。これらの素材は、耐薬品性や耐水性、柔軟性に優れており、容器やパイプ、カバー類などの製作に適しています。
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)
エンジニアリングプラスチック(エンプラ)は、機械的強度や耐熱性、耐摩耗性に優れた高性能な素材群です。代表的なものに、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などがあります。これらの素材は、ギアやベアリング、機械部品など、耐久性や精度が求められる用途に適しています。
スーパーエンプラ
スーパーエンプラは、エンプラよりもさらに高い性能を持つ高機能樹脂です。代表的なものに、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などがあります。これらの素材は、耐熱性や耐薬品性、寸法安定性に優れており、航空宇宙、医療、電子機器などの分野で使用されています。
切削加工の流れ
プラスチックの切削加工は、以下のステップで進行します。
- 設計・モデリング:製品の目的や使用環境を考慮し、CADソフトを用いて詳細な設計図や3Dモデルを作成します。この段階での精密な設計が、後の加工精度や製品の機能性に大きく影響します。
- 材料選定:設計要件に基づき、適切なプラスチック素材を選定します。例えば、耐熱性が求められる場合はPEEK、耐薬品性が必要な場合はPTFEなど、用途に応じた材料選びが重要です。
- 加工準備:選定した材料を加工機械にセットし、必要に応じて治具を使用して固定します。また、加工プログラムの作成や工具の選定、切削条件の設定など、加工に向けた準備を行います。
- 加工:CNCマシニングセンタや旋盤などの工作機械を使用して、設計図に基づいた切削加工を行います。加工中は、熱による変形や反りを防ぐため、適切な切削条件や冷却方法を採用します。
- 仕上げ処理:加工後の製品に対して、バリ取りや研磨、洗浄などの仕上げ処理を施します。これにより、製品の外観品質や寸法精度を向上させ、最終製品としての完成度を高めます。
精度管理や品質チェックが製品の性能や信頼性に直結するため、各工程での作業が重要になります。
切削加工の注意点
プラスチックの切削加工では、素材特有の性質や加工条件に注意する必要があります。加工時の主な注意点を解説します。
熱による変形防止策
プラスチックは熱伝導率が低く、加工時の摩擦熱によって変形や溶融が生じやすい素材です。そのため、切削条件の最適化や冷却手段の導入が重要です。具体的には、切削速度や送り速度の調整、適切な工具の選定、エアブローや冷却液の使用などが挙げられます。これにより、熱による変形や寸法誤差を抑制し、加工精度を確保できます。
切粉の処理と静電気対策
プラスチックの切削加工では、細かい切粉が発生しやすく、静電気の影響で機械や製品に付着することがあります。これにより、加工精度の低下や製品の品質不良が生じる可能性があります。対策として、適切な切粉排出機構の導入や、静電気防止措置(アース接続、帯電防止剤の使用など)を施すことが推奨されます。
工具の選定とメンテナンス
プラスチックの切削加工では、素材の特性に適した工具の選定が重要です。例えば、切削抵抗の低い工具や、摩耗に強いコーティングが施された工具などが効果的です。また、工具の定期的なメンテナンスや交換を行うことで、加工精度の維持や工具寿命の延長が図れます。これにより、安定した加工品質と生産効率の向上が期待できます。
プラスチック切削加工の目安価格
プラスチック切削加工の価格は、部品のサイズ、形状、使用材料、ロット数などにより大きく変動します。
参考までに、一般的な価格の目安を示します。
部品サイズ
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材質
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ロット数
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単価の目安
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小型部品(例:Φ8mm×3mm)
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PP
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100個
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約50円~
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中型部品(例:Φ45mm×13mm)
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POM
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10個
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約950円~
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大型部品(例:230mm×27mm×21mm)
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POM |
10個 |
約860円~ |
また、使用する材料によっても価格は変動します。
例えば、高性能樹脂(例:POM、MCナイロン)は、汎用樹脂(例:PP、ABS)よりも高価になる傾向があります。材料自体の価格差や加工の難易度が主な理由です。ロット数が多い場合や形状が単純な場合は、単価が下がる傾向にあります。具体的な見積もりを希望される場合は、図面や仕様書をもとに問い合わせを行うと円滑に進めやすいでしょう。
前川化学工業のプラスチック切削加工の事例
前川化学工業のプラスチック切削加工技術は、食品・機械・自動車など幅広い業界で活用されています。原材料の選定から加工・仕上げ・量産までワンストップで対応できる体制により、お客様の多様なニーズに応えています。
食品業界:搬送ローラーの芯材を金属から樹脂に置き換え、約30%の軽量化とメンテナンス性向上を実現しました。
機械分野:金属製ギアをプラスチック製に変更し、潤滑油なしで動作可能にすることで摩耗粉による汚染を防ぎつつ、部品重量を約1/7に軽減しました。
前川化学工業ならではの一貫生産体制と豊富なノウハウがあり、樹脂製カバー等の製作実績も多数あります。今後とも、お客様の課題解決に最適なプラスチック切削加工ソリューションを提供してまいります。
前川化学工業のMCナイロン加工における強みと特徴
京都に本社を置く前川化学工業株式会社は、工業用ゴム製品と合成樹脂製品の成型加工を得意とし、創業60年を超える実績を持つ企業です。原材料の選定・調達から加工・成型・量産まで一貫して対応できる総合部品メーカーとして、関西のお客様を中心に信頼をいただいております。
MCナイロンを含むエンプラ加工においても豊富な経験とノウハウを有しており、以下のような強みがあります。
ゴムと樹脂の一体成形対応

ゴム材料とプラスチック樹脂を組み合わせた複合製品の製造が可能です。他社では別々に作って組み立てるような部品でも、当社ならゴム成型と樹脂加工をワンストップで対応できます。例えばMCナイロン製のハブにゴム製タイヤを加硫接着した車輪や、樹脂プレートにゴムシールを一体成形したバルブ部品など、異材一体化によるコスト削減・品質向上を実現します。
小ロット~大ロットの柔軟対応

1個の試作品から数千個の量産まで、あらゆる生産ロットに柔軟に対応します。試作段階では迅速な加工とフィードバック、大量生産段階では専用治具の作製や自動化による生産効率アップなど、お客様のニーズに合わせた対応が可能です。「試作は10個、量産は1000個」といったケースでも、スムーズにスケールを拡大して供給できます。
原材料選定~加工・量産までワンストップ対応

原材料の調達ルートが広く、エンジニアリングプラスチックからスーパーエンプラまで網羅しています。お客様から材質指定がない場合でも、要求される条件に合った材料を当社が選定・提案いたします。また、自社内にゴムと樹脂双方の加工設備を備え、金属加工や組立て工程も連携可能なため、一括で製品完成まで対応できる体制があります。複数の外注先を管理する手間なく、当社にお任せいただければワンストップで完了します。
関西圏は自社専任ドライバーで配送

京都本社を拠点に、大阪・滋賀・兵庫など関西一円への納品は当社の専任ドライバーが直接お届けします。自社便配送により小回りの利いた納品が可能で、急ぎのご要望や時間指定にも柔軟に対応します。輸送中の品質管理も徹底しており、大切な製品を安全・確実にお届けします。
金型移管にも対応

前川化学工業ではお客様との信頼関係を大切にしており、希望されるお客様には当社工場の見学を受け入れております。実際の生産ラインや品質管理の様子をご覧いただくことで、当社のものづくりへの姿勢を感じていただけます。遠方の方でもオンラインでの工場紹介等、ご相談に応じます。
工場見学も可能

現在使用中のゴム金型やプラスチック成形用金型を当社へ移管して生産を継続することも可能です。他社が廃業・撤退して困っているといったケースでも、図面や金型をご提供いただければ当社で生産を引き継ぎます。過去の製品で図面が無い場合でも、現物からリバースエンジニアリングして図面化するなど対応いたします。
資料請求・技術相談も歓迎
MCナイロン加工やその他ゴム・樹脂加工に関する技術資料や製品サンプルのご提供も可能です。また、「このような部品は作れる?」「材料選びに迷っている」といった初期段階のご相談もお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが対応し、最適なソリューションをご提案いたします。
当社の強みを活かし、お客様の課題解決につながる高品質な製品づくりをお約束いたします。
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プラスチックの切削や加工なら前川化学工業株式会社へ
プラスチックの切削・加工なら、創業50年を超える歴史と実績を誇る前川化学工業株式会社にお任せください。当社はゴム・樹脂一体成形や精密加工などの高度な加工技術と、最適な素材選定のノウハウでお客様の多様なニーズにお応えします。原材料の調達・選定から成形・加工まで一貫した生産体制のもと、小ロットの試作から量産まで柔軟に対応します。また、図面がない場合や他社金型の引き継ぎにも対応可能です。案件ごとに専任担当者を配置して品質管理を徹底しており、受注から納品まで安心してお任せいただけます。
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ゴム製品と樹脂製品の一体成型に対応いたします。また、ゴムや樹脂以外に、スポンジ・ホース / ベルト・電気絶縁材料など、
お客様のニーズを実現する最適な素材調達や製造方法をご提案いたします。
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