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2026 11.6

エポキシ樹脂とは|特性・種類・硬化剤・用途から加工・調達のポイントまで徹底解説

エポキシ樹脂(EP)は、主剤と硬化剤を混ぜ合わせて固める熱硬化性樹脂です。金属やガラス、コンクリートなど多様な素材にしっかり接着し、電気を通しにくく、水や薬品にも強いことから、接着剤や塗料、半導体の封止材、プリント基板まで広く使われています。一方で、紫外線で黄変しやすい、硬化後は衝撃に弱いといった弱点もあり、配合の組み合わせ次第で性能が大きく変わる素材でもあります。

この記事では、エポキシ樹脂の基本や物性値の目安、種類と硬化剤の選び方、用途、成形・加工方法を整理したうえで、図面をお持ちのメーカーのご担当者が絶縁部品などを選定・調達するためのポイントまで解説します。

 

エポキシ樹脂とは|接着・絶縁に強い代表的な熱硬化性樹脂

 

エポキシ樹脂は、分子の中に「エポキシ基」と呼ばれる反応しやすい環状の構造をもつ樹脂の総称です。最も一般的なビスフェノールA型は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを原料につくられます。硬化前は液状から固形までさまざまな形態があり、そのままでは固まらず、硬化剤と反応させて初めて硬く強い樹脂になります。1940年代後半に工業化され、接着・絶縁・防食の分野を中心に用途を広げてきました。

硬化のしくみ|主剤と硬化剤の反応で網目状に固まる

エポキシ樹脂は、主剤のエポキシ基が硬化剤と反応し、分子どうしが三次元の網目状につながることで硬化します。いったん固まると再加熱しても溶けない熱硬化性樹脂です。市販品の多くは、使う直前に主剤と硬化剤を混ぜる2液型です。混ぜてから作業できる時間(可使時間)が限られ、決められた配合比を守ることが性能を引き出す前提になります。あらかじめ硬化剤を配合し、加熱して固める1液型もあり、電子部品の量産ラインなどで使われています。

エポキシ樹脂とほかの樹脂の違い|フェノール・不飽和ポリエステル・熱可塑性樹脂と比較

熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂のほかにフェノール樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などがあり、硬化後に溶けない点は共通しています。差が出るのは、接着性や硬化収縮(固まるときの縮み)、価格です。なかでも接着力と寸法安定性は、エポキシ樹脂がほかの熱硬化性樹脂を上回る点です。これに対して、加熱すると軟らかくなり繰り返し成形できるのが熱可塑性樹脂です。

熱可塑性樹脂の代表例であるABS樹脂については、「ABS樹脂の特性は?安全性や加工方法をわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。主な樹脂の違いを整理すると、次のとおりです。

比較項目

エポキシ樹脂

フェノール樹脂

不飽和ポリエステル樹脂

熱可塑性樹脂(ABSなど)

硬化方法

主剤と硬化剤の反応で硬化(常温・加熱)

加熱・加圧で硬化

硬化剤を加えて常温でも硬化

冷えると固まり、再加熱で軟化

接着性

非常に高い

中程度

中程度

低め

硬化収縮

小さい

中程度

大きい

―

電気絶縁性

高い

高い

高い

種類による

屋外での耐候性

弱い(黄変しやすい)

変色しやすいが濃色のため目立ちにくい

対策をすれば屋外でも使える

種類による

価格の目安

高め

安価

安価

汎用品は安価

主な用途

接着剤、半導体封止、基板

積層板、電気部品、摩擦材

FRP、浴槽、船体

家電の外装、日用品

 

エポキシ樹脂の特性|物性値の目安と長所・短所

 

エポキシ樹脂を部品や材料に採用する際は、数値で性能の見当をつけ、長所と短所をあらかじめ押さえておくと、後工程でのやり直しを防げます。

代表的な物性値|耐熱性・強度・電気特性

主な数値は次のとおりです。表中のガラス転移温度は、樹脂が硬い状態から軟らかくなり始める温度で、耐熱性を比べるときの基準になります。

項目

目安(充填材なしの硬化物)

補足

ガラス転移温度(耐熱性の指標)

60〜180℃程度

配合次第で200℃以上の高耐熱グレードもある

引張強さ

40〜90MPa程度

ガラス繊維で強化すると150〜500MPa程度まで高まる

体積抵抗率(電気の通しにくさ)

10¹⁴〜10¹⁶Ω・cm程度

絶縁材料として十分な水準

絶縁破壊強さ

12〜20kV/mm程度

高い電圧がかかる部材の絶縁にも使われる

吸水率

0.1〜1.0%程度

水分を吸いにくく、湿気の多い環境でも性能を保ちやすい

せん断接着強さ

10MPa以上が一般的

接着する材料や表面の状態、硬化条件で大きく変わる

数値はグレードや硬化条件によって幅があるため、部品に使う際は材料メーカーの技術資料で確認しておくと安心です。

 

主な長所|接着性・電気絶縁性・耐薬品性・寸法安定性に優れる

最大の長所は接着力の高さです。金属、ガラス、セラミックス、コンクリート、木材など、異なる材料どうしの接合に力を発揮します。電気絶縁性にも優れ、硬化後は電気をほとんど通さないため、電子部品の封止や絶縁部材に欠かせません。酸・アルカリ・溶剤への耐薬品性と耐水性を備え、防食塗料や床のコーティングにも適しています。硬化収縮が小さく寸法が安定しやすい点も、精密な電子部品で重視される理由です。機械的強度も熱硬化性樹脂のなかで高い水準にあり、繊維と組み合わせれば軽くて強い複合材料になります。

 

主な短所|紫外線で黄変しやすく衝撃には脆い

一方で、紫外線には弱く、屋外で日光を浴び続けると黄変したり、表面が粉を吹いたように劣化(チョーキング)したりするため、屋外では耐候性の高いグレードや保護塗装が必要です。硬化後は硬い反面、粘り強さ(靭性)に乏しく、強い衝撃や急な温度変化で割れることがあります。2液型は配合比の誤りや混ぜ不足で硬化不良を起こしやすく、気温が低いと硬化が遅れるため、製造時の管理が重要になります。ポリエチレンやフッ素樹脂のように接着しにくい材料があること、皮膚をかぶれさせる成分を含む製品があり手袋や換気が必要なことも押さえておきたい点です。価格はフェノール樹脂や不飽和ポリエステル樹脂より高めです。

 

エポキシ樹脂の種類と硬化剤の選び方

 

エポキシ樹脂は、主剤と硬化剤の種類を選ぶことで、耐熱性や流れやすさ、硬化の条件を調整できます。ここでは代表的な種類と、用途からの選び方を整理します。

 

主剤の種類|ビスフェノールA型・F型・ノボラック型など

主剤の種類

主な特徴

主な用途

ビスフェノールA型

標準的なタイプ。強度・接着性・絶縁性のバランスがよい

接着剤、塗料、電気絶縁、積層板

ビスフェノールF型

A型より粘度が低く、すき間に流れ込みやすい

注型、土木用、無溶剤の塗料

ノボラック型

耐熱性と耐薬品性が高い

半導体封止材、耐熱部品

脂環式

透明性が高く、紫外線や屋外環境に比較的強い

LEDの封止、屋外用の絶縁部材

臭素化型

燃えにくさ(難燃性)を高めたタイプ

難燃性が求められるプリント基板

 

硬化剤の種類|アミン系・酸無水物系・イミダゾール系など

硬化剤の種類

硬化の条件

特徴と主な用途

アミン系

常温で硬化

手軽に扱え接着性が高い。可使時間は短め。接着剤、塗料、土木の補修

酸無水物系

加熱が必要(100℃以上)

粘度が低く可使時間が長い。電気特性に優れ、絶縁部材の注型に多い

フェノール系

加熱が必要

耐熱性・耐湿性が高い。半導体封止材

イミダゾール系

加熱で短時間に硬化

少量で硬化が進む。1液型の接着剤、電子材料

同じ主剤でも硬化剤を替えると耐熱性が変わるため、主剤と硬化剤はセットで選ぶことが大切です。

 

エポキシ樹脂の選び方|使用温度・使用環境・接着相手から絞り込む

用途に合うエポキシ樹脂は、次の項目を順に確認していくと絞り込みやすくなります。

確認すること

選び方の目安

使う温度

100℃を超える部位には、ノボラック型の主剤や加熱硬化型の硬化剤(酸無水物系・フェノール系)を組み合わせた高耐熱のものを選ぶ

屋外・紫外線

紫外線に比較的強い脂環式や耐候グレードを選ぶか、保護塗装を前提にする

電気絶縁

電気特性に優れる酸無水物系で硬化した注型品やガラエポ積層板を候補にし、燃えにくさが必要なら難燃グレードを選ぶ

接着する相手

ポリエチレン・ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコンゴムは接着しにくいため、表面処理やねじ止めなどの固定方法も検討する

製造の条件

加熱設備がない現場や補修には常温で固まるアミン系の2液型、量産ラインには加熱で短時間に固まる1液型が向く

条件が複数重なる場合や、エポキシ樹脂以外の材料も含めて比べたい場合は、図面と使用条件をそろえて材料に詳しい加工メーカーに相談すると、選定の手戻りを減らせます。

 

エポキシ樹脂の主な用途

 

電子機器

エポキシ樹脂は、接着性・電気絶縁性・耐薬品性を活かして、電子機器から建築・土木まで幅広い分野で使われています。

 

電気・電子部品|半導体封止材・プリント基板・絶縁注型

最も代表的な用途が電気・電子分野です。ノボラック型などを使った封止材は、トランスファー成形で半導体チップを包み込み、湿気や衝撃から守ります。ガラス繊維の布にエポキシ樹脂をしみ込ませて重ねたガラスエポキシ積層板(ガラエポ)は、FR-4と呼ばれるプリント基板の標準的な材料で、絶縁板やスペーサー、治具などの部品材料としても使われます。また、トランスやモーターのコイルを樹脂で固める注型や、基板全体を樹脂で覆う樹脂封入(ポッティング)にも用いられています。

 

接着剤・塗料|構造用接着剤と防食コーティング

2液型のエポキシ接着剤は、金属どうしや金属と樹脂を強力に接合できるため、自動車や航空機、建築の構造用接着剤として使われます。塗料としては、船底や橋梁、プラント設備を錆から守る防食塗料や、薬液を扱う設備の内面を覆うライニングが代表的です。

 

複合材料・土木建築|CFRPの母材とコンクリート補修

炭素繊維と組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の母材として、航空機の機体や風力発電の羽根などに使われています。土木・建築の分野では、コンクリートのひび割れに注入する補修材やアンカーボルトの固定材としても活躍しています。

 

エポキシ樹脂の成形・加工方法

 

エポキシ樹脂は、液状のまま型に流したり繊維にしみ込ませたりして硬化させるため、熱可塑性樹脂の射出成形とは成形の考え方が異なります。どの方法でつくるかによって、型の費用や数量の向き不向きが変わります。

 

注型・トランスファー成形・積層成形|代表的な成形法

試作や少量品で基本となるのが、型に樹脂を流し込んで硬化させる注型です。型の費用を抑えられる一方、硬化時の発熱や気泡、ひずみに注意が必要です。半導体の封止など量産品には、粉状・粒状の成形材料を加熱した金型へ押し込むトランスファー成形が使われます。積層板は、樹脂を含ませたガラス布(プリプレグ)を重ねて加熱・加圧する積層成形でつくられます。パイプや圧力容器には、樹脂を付けた繊維を型に巻き付けていくフィラメントワインディングも用いられます。

 

ガラエポの切削加工|工具摩耗と粉じんへの対策が仕上がりを左右する

ガラエポのような積層板から部品をつくる場合は、硬化後の板材を削り出す切削加工が中心になります。金型が不要なため、絶縁板やスペーサー、治具などを少量からつくりやすいのが利点です。ただし、ガラス繊維を含むため工具の摩耗が早く、削るときに細かな粉じんが出るため、集じんや作業者の保護が欠かせません。積層の向きによっては縁が欠けたり層がはがれたりしやすく、工具の選定や送り速度の調整で品質に差が出ます。

樹脂の切削加工全般の流れは、「樹脂切削加工とは?特徴や種類、メリットを徹底解説」で解説しています。

 

エポキシ樹脂を使う部品の調達は材料選定と加工体制で決まる|用途に合う一社を選ぶ

 

エポキシ樹脂を使う部品の調達は材料選定と加工体制

エポキシ樹脂を使う部品を調達するときは、必要なものが「液状の材料」なのか「積層板などから加工した部品」なのか「成形品」なのかを整理すると、相談先を選びやすくなります。接着剤や注型材そのものは化学メーカーや商社から、ガラエポの絶縁板やスペーサーは板材を削り出す加工メーカーから調達するのが一般的です。部品として必要な場合は、絶縁性や耐熱性といった要求に合う材料を見極め、硬化後の加工まで任せられる体制があるかどうかが、品質とコストを左右します。

 

絶縁材料の選定から前川化学工業に相談|エポキシ・ベーク・シリコンゴムを比べて提案

絶縁部品の材料は、エポキシ樹脂だけが選択肢ではありません。価格と耐熱性を重視するならフェノール樹脂(ベーク)、硬化後も柔らかさを保ちながら防水・防振したい部位ならシリコンゴムが適する場合もあります。前川化学工業は、ベークなどの熱硬化性樹脂や電気絶縁材料の加工に対応し、原材料の選定・調達から用途に合った素材と製造方法をご提案しています。エポキシ樹脂にこだわらず比較から相談できるため、過剰品質やコスト増を避けやすくなります。

柔軟な絶縁材料として使われるゴム素材については、「シリコンゴムとは?特性・用途から他素材との違い・加工方法まで徹底解説」で詳しく紹介しています。

 

ゴムと樹脂の両対応で絶縁部品とゴム部品の調達を一本化

電気機器では、絶縁板や端子まわりの樹脂部品と、パッキンやグロメットなどのゴム部品を組み合わせて使う場面が少なくありません。前川化学工業はゴムと樹脂の両方を自社で扱い、ゴム製品と樹脂製品の一体成型にも対応しているため、別々の業者に分けていた部品をまとめて発注できます。エポキシ樹脂では接着しにくいシリコンゴムなどを樹脂部品と組み合わせたい場合も、固定の方法からご相談いただけます。調達先を絞り込めば、見積りや納期の調整、品質確認にかかる手間が減り、購買・調達のご担当者の負担を軽くできます。

 

図面をお持ちなら試作1個から量産まで一貫対応|発注先の切り替えが不要

新しい絶縁部品を立ち上げるときは、少数の試作で寸法や組み付けを確かめてから量産へ進む流れが基本です。前川化学工業は、部品1個の試作から量産までを同じ窓口で一貫して承るため、途中で発注先を切り替える手間や品質のばらつきの心配がありません。案件ごとに営業と事務の専任担当者が付き、関西一円へは自社のドライバーが配送するので、数量変更や納期のご相談にも柔軟に対応できます。図面をお持ちのメーカーのご担当者であれば、試作1個からご依頼いただけます。

 

前川化学工業の樹脂・ゴム加工|創業60年の京都で絶縁部品の調達を支える

 

前川化学工業の樹脂・ゴム加工

前川化学工業株式会社は、1965年に京都で創業し、60年以上にわたって工業用ゴム製品と合成樹脂製品の成型加工を手がけてきたメーカーです。伏見・久御山・宇治の3工場を構え、関西の半導体関連メーカーや工作機械メーカーを中心に部品づくりを支えてきました。ゴムは原料の練り(配合)から成形まで一貫して手がけられる京都でも数少ない体制を持ち、難燃や導電といった特殊配合にも対応します。

樹脂は汎用プラスチックからエンジニアリングプラスチックまでの成形に加え、熱硬化性樹脂の加工にも対応し、ROHS2規格・REACH規制への対応、材料証明書の発行、品質保証部による社内評価の体制も整えています。信頼性が求められる電気・電子部品や産業機械向けの部品も、安心してご依頼いただけます。

樹脂部品の削り出しについては「プラスチック切削加工とは?加工方法・素材・注意点まで徹底解説」でも事例を紹介しており、会社の設備や体制は前川化学工業の会社概要でご確認いただけます。従業員10〜300名規模のメーカーさまに多くご利用いただいており、図面をお持ちの法人のご担当者からの工業用部品のご相談をお待ちしています。

 

まとめ|エポキシ樹脂は特性理解と選定・調達体制で価値が決まる

 

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、接着性・電気絶縁性・耐薬品性・寸法安定性に優れる一方で、紫外線による黄変や衝撃への弱さ、硬化管理の難しさといった課題を持つ熱硬化性樹脂です。主剤と硬化剤の組み合わせで性能が大きく変わるため、用途に合う種類を選び、注型や積層板の切削など加工方法まで見据えて発注することが、トラブルのない部品づくりの基本になります。

絶縁部品では、フェノール樹脂やシリコンゴムも含めて比べることで、性能とコストの釣り合いがとれた選択がしやすくなります。前川化学工業は、京都で培ったゴム・樹脂の成型加工技術と、材料選定から試作・量産まで一貫して承る体制で、図面をお持ちのメーカーのご担当者の部品調達をサポートします。絶縁部品のことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

 

絶縁部品・樹脂部品の材料選定・試作から量産までのご相談はこちら

図面をお持ちでしたら、最短即日でお見積りいたします。試作1個からのお取引や、エポキシ樹脂とほかの材料との比較を含めた材料選定のご相談も承ります。

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