2025 9.19
皆さんはEPDMゴムという素材をご存知でしょうか?聞き慣れない名前かもしれませんが、実は製造業の現場で広く使われているゴム材料の一つです。屋外で長期間使っても劣化しにくく、熱や水にも強いことから、様々な過酷な環境で頼りになる存在です。
EPDMゴムは、エチレンとプロピレンを主成分に少量のジエンを加えて作られる合成ゴム(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)です。その化学構造により優れた耐候性・耐熱性・耐薬品性を示し、屋外や高温・水回りといった過酷な環境でも力を発揮します。
現場でEPDMゴムがよく選ばれるのには、ちゃんと理由があります。ここでは、代表的な4つの特性についてわかりやすく紹介します。
EPDMは紫外線やオゾンによる劣化に非常に強く、屋外で長期間使用してもひび割れや硬化が起こりにくいのが特徴です。日光や風雨にさらされるパッキンやシール材に最適で、屋外の設備や自動車部品でも安心して使われています。
たとえば:自動車のドアや窓枠に使われるゴムシールはEPDM製で、炎天下でも数年間ひび割れません。
マイナス40℃〜+150℃と非常に広い温度範囲で使用できるのもEPDMの強みです。低温でも硬くなりすぎず、高温でも劣化しにくいため、寒冷地の屋外設備からエンジン周辺まで安定して使えます。
たとえば:車のラジエーターホース(熱い冷却水が流れるゴム管)はEPDM製が主流で、高温のエンジンルームでも長期間劣化しにくく使えます。
EPDMゴムは水や酸・アルカリに強く、薬品耐性に優れています。真水はもちろん、洗剤や高温の蒸気がかかる場面でも性能を維持します。薬品や熱水がかかるボイラー周りのシール材にも用いられます。
EPDMは電気を通さない絶縁性も持ち合わせています。耐候性にも優れるため、屋外用の電気ケーブル被覆や絶縁ブッシュなどにも使用されています。
優れた耐候性・耐熱性を持つEPDMゴムは、製造業のさまざまな分野で活躍しています。具体的には次のような用途で使われることが多く、私たちの身近な製品にも利用されています。
ゴムにはEPDM以外にもさまざまな種類があり、環境や用途によって、それぞれ得意な場面と苦手な場面があります。最後に、EPDMと他の代表的なゴム素材の特徴を比較してみましょう。
※このほか、耐油・耐熱に極めて強いフッ素ゴム(FKM)など特殊用途向けの素材もあります。各素材の特性を理解し、使用環境に合わせて適材適所で使い分けることが大切です。
製造業におけるEPDMゴムは、屋外や高温・水が絡む用途で活躍する万能ゴムです。ただし油には弱いので、油がかかる現場ではNBRやフッ素ゴムを選ぶ判断が欠かせません。「どんな環境で使うのか」「求められる性能は何か」を意識して素材を選べば、トラブルを防ぎ製品の信頼性向上につながります。EPDMゴムの特性を理解し、用途に応じた素材選定にぜひお役立てください。

前川化学工業株式会社は、創業以来培った豊富な経験と確かな技術力で、ゴム・樹脂製品の加工を通じてさまざまな業界のニーズにお応えしてきました。EPDMゴムをはじめとする各種ゴム材料の選定から試作、小ロット生産、精密加工まで一貫してサポートいたします。「こんなゴム部品は作れる?」「他社で断られた加工がある」など、お困りごとがございましたらぜひ一度ご相談ください。
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